
視点を変える
2015年には恒例の経団連など経済3団体の新年祝賀パーティーが開かれました。この席で安倍首相は、「今年はデフレ脱却へ正念場だ。景気の好循環を実現するため、企業経営者の皆さんにはぜひ賃上げをお願いしたい」と述べたそうです。
パーティーに参加した企業トップからは景気の行方に楽観的な声も多く聞かれ、賃上げアップに前向きな企業も少なくないようです。ただし、コストアップにつながる賃上げには慎重にならざるを得ない、といった事情を抱える企業が少なくないのもまた事実。4月の消費税増税を控え、この半期が大きな勝負どころとなるのではないでしょうか。
視点を変えて、コスト削減と競争力のさらなる強化を目指す
企業の将来を左右する大きな勝負どころであると予想されるこの数ヶ月のあいだに、どのような成果をあげることができるか。それはひとえに、パースペクティブな視点から立案した業務改善を断行できるか否かにかかっています。
コスト削減などの業務改善には、スタッフの意識改革、そして部門ごとの改革によるボトムアップの視点が大切です。しかし大きな変革のときにあっては、そのような部分最適化の努力では足りない場合があります。企業の将来を構想できるトップならではの視点から、全体最適化のイメージを掲げることがより重要になるとき。ボトムアップからトップダウンへと柔軟に視点を変えた改革戦略が必要不可欠なのです。
また、競争力の強化をはかるためには、さまざまな視点から自社を見つめ直したうえで、市場戦略を立案することが必要になります。そのためまずは、自社の強みとなる「コア」が何かを見極めることから始めましょう。コアが明確になれば、ノンコアの部分におけるコスト削減を積極的に行うこともできます。
次に視点を変え、買い手の視点で、自社の製品やサービスをいま一度見つめ直してみましょう。買い手の視野の中には競合他社や競争業者も入っていますし、代替品の存在も無視できません。そうしたなかで、自社が買い手に提供できる商品やサービスとは何なのか。買い手が他社と自社とを比較するのは、どういった点なのか。視点を変えた分析を試みましょう。
このとき参考になるのは、顧客の生の声やマーケティングリサーチの分析結果など。こうした分析はまさにコンサルタントの得意分野です。リサーチやデータ解析だけでなく、社外の第三者の視点を借りることも、競争力の強化をはかるための戦略立案に役立つと思います。
新年の幕開けは、新たな視点で自社を見つめ直すのに最適な時期です。景気の好循環を実現し、自社の業績アップをはかるために、着実な第一歩を踏み出したいものですね。