ロジスティクスとは
「ロジスティクス」という言葉と「物流」という言葉を同意語だと思っている方はかなりいらっしゃることでしょう。しかし、まったく同じかと言いますと、そうではありません。「ロジスティクス」と「物流」では、かなりニュアンスが異なる事をご存じでしょうか?
「ロジスティクス」を英語で表記すると「Logistics」になります。
現代では、「物流」という意味で捉えられることがほとんどです。しかし、逆に「物流」を英訳しますと、「physical distribution」となります。
「Logistics」ではないじゃないか!和製英語なのだろうか?と疑問に思いますよね。実は、Logisticsは本来違う意味で使われていました。いったいどのような意味なのでしょうか?
三省堂の大辞林でLogisticsを調べますと、もともとは「戦場の後方で行う,物資の調達や補給。兵站(へいたん)。」を意味していたことがわかります。
「兵站」という言葉は聞きなれないかもしれません。
これは軍事用語で、軍事装備の調達や補給、整備,修理をはじめ、人員や装備の輸送,展開,管理運用についての総合的な軍事業務の事です。兵站は、戦争の状況などによって、その都度変化するものであり、戦闘・戦略を成功させるための重要な業務と言えるでしょう。
Logisticsの第2の意味として挙げられているのが「原材料の調達から生産・在庫・販売に至る物の流通。また,その流れを合理的に組み立て統制する管理活動。」です。
物の流れを指し示す「物流」は物的流通の略語ですが、今ではこの略語の方がよくつかわれるようになっています。物流が行われるのは製品の運搬だけではありません。製品を作るための材料の調達に始まり、製造過程での運搬、保管や販売を行うための物流など、企業では様々な種類の物流が行われています。
単なる運ぶための物流に対して、「ロジスティクス」は、原材料の調達から生産・在庫・販売に至る物的流通を総合的に捉えて合理的に組み立て、統制する管理活動の事を言います。こちらが現代で呼ばれるところの「ロジスティクス」です。
よく、「物流を制する者がビジネスを制する」と言われます。企業にとって物流はなくてはならない物であり、この物流のシステムを戦略的に考え、総合的に管理・合理化し、最適化する「ロジスティクス」は、ビジネスを制する上で重要不可欠であると言えるでしょう。