マーケティング理論の実践
近年、さまざまな分野において、マーケティング理論とその実践への取り組みが活発になっています。飲食店や小売りなどのサービス業においては、顧客対応や新規顧客獲得のためにサービスマーケティング理論がもちいられます。また地域活性化や、観光資源の再開発のために用いられるのが観光業マーケティング。ほかに、医療分野における医療マーケティング、学生獲得や在校生対応のための大学マーケティング、行政やNPOの受益者対応のための行政マーケティングなどもあります。このように、さまざまな業界に対応したマーケティング理論がありますが、大切なのは、それが現実に即応した理論であるのかどうか。理論を現場で活かすためには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。
マーケティング理論を現場で活かすには・・・
さまざまなマーケティング理論のなかで、もっとも有名なのはマーケティングミックス。マーケティングミックスには、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)といった4つのマーケティングツールをミックスして活用し、自社の売上拡大の戦略を立案する「4P」理論などがあります。
たとえば、小売業をマーケティングミックスで考えてみましょう。一般的には、小売業では同じ商品を扱う競合が多いため、「商品」分野では差別化できない場合が多いようです。そこで「価格」か「流通、立地」分野での優位性をはかるための戦略が必要とされます。また「販売促進」分野では、不特定多数への広告戦略が顧客獲得のために必要となります。こうした形態でマーケティングミックスを指向する企業がある一方で、「専門店化」や「PB(プライベートブランド)開発」など、差別化を指向する企業も増えています。どういった戦略をとり、どのような方向へと舵を切るのか、そうした決断はマーケティング理論の先、もしくは根底にあるものと言えます。マーケティングミックスは、現状の外部環境におけるトップの経営判断を現場へと定着させ、浸透させるツールでもあるのです。
マーケティングミックスのような理論は、戦略を練るためのツールとして活用されるものですが、マーケティング戦略の効果を最大にするためには、内外の現状を知らなければなりません。現在のように企業を取り巻く外部環境が著しく変化するなかにあっては、「現場の声」や「顧客の声」を聞きとることで市場とのマッチングをはかり、なおかつ市場ニーズの醸成に取り組むことが必要となります。
社会がドラスティックな変動を遂げようとしているいまこそ、経営者が積極的に営業現場へと出向き、顧客の動向やニーズ、市場の将来性について見定める好機ではないでしょうか。