業務改善と問題定義
成長を続ける企業にとって、業務改善への道にゴールなどありません。区切りを迎え新たなスタートをきれば、また新たな課題があらわれることでしょう。どのような課題に直面してもひるむことなく、前進への1歩を力強く歩んでいきたいものです。
正しい改革は問題定義からはじまる
ここでいま一度、業務改善におけるもっとも重要なポイントについて、述べさせていただきたいと思います。それは問題定義について。コスト削減や業務効率アップなどを目指して業務改善するには、正しく問題を定義することからはじめなければならないのです。
業務改善プロジェクトにおける一般的な手順は、まずは問題提起、つぎに問題の確認、目標設定、原因分析、そして改善策立案となっています。問題を特定するにいたるには、その提起、確認、目標設定、原因分析といったプロセスが必要となります。
しかし実際には、問題の提起と、問題の原因となっている事態とを混同してしまうことが多く、会議などで混乱を招く事態となるようです。また、表面化している事態に惑わされ、真の問題点の発見にまでいたらないといったケースもみられます。
こうした事態を防ぎ、真の問題を見極めるには、仮説思考と帰納法という2つの方法が役立ちます。仮説思考とは、情報収集や分析作業に入る前に、仮説を導き出し、その仮説を検証することで真の問題を定義していく方法です。ビジネスで鍛えられた想像力を駆使して仮説を立て、それを検証することで、問題解決までの時間を短縮することができます。帰納法とは、観察されるいくつかの事象の共通点に着目して、結論を導き出す方法です。仮説思考より時間がかかるものの、経験による想像力を補うことができます。
また、問題を正しく、迅速に把握するためには、問題を提起する場が社内で機能しているかどうかも重要です。すべてのスタッフが問題提起することができ、その問題を検討する機能が働いているかどうか。そうした機能を活用するには、問題意識を高くもち、共有できる職場環境を整えることが必要となります。
正しい改革は、正しい問題定義からはじまります。そうした意識さえ忘れなければ、どのような局面にあっても、力強く変化しつづけることができるはずです。