倒産回避から再成長へ
東京商工リサーチの調査によれば、首都圏1都3県の2014年4~9月の倒産件数は5年ぶりに減少し、1991年以来23年ぶりの低水準となったそうです。負債総額も減少傾向にあり、その理由として挙げられているのは、消費税増税後の景気下支えのために行われた公共事業が前倒しで執行されたことや、中小企業向けの返済猶予に金融機関が応じているためとみられています。
公共事業が回復し、東京オリンピック特需などで景況感が高まっている建設業界。主要上場建設企業ではその8割が増収となり、未上場建設企業でも71.3%が増収となっています。とはいえ中小の建設企業では、いまだ充分な価格転嫁が難しい状況が続いています。中小事業者の収益性が改善されるまでにアベノミクス効果が波及していくのかどうか、今後も注視していく必要があるのではないでしょうか。
倒産を回避してチャンスを手にする!
国の経済状況を判断するうえで重要な指標となる倒産件数。収益性や資金繰りの向上、地価の上昇は倒産件数を減少させるといわれています。ちなみに倒産という言葉を使い始めたのは前出の東京商工リサーチであり、いわく『「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、通常の経済活動を続けることが困難になった状態を指す。』とされています。
倒産とは「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、法的倒産では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4 分類されます。私的倒産では、「銀行取引停止」と「内整理」に分けられます。
私的整理であっても銀行取引停止などになれば、手形の決済ができなくなってしまいます。資金繰りができなくなれば、事業を継続するのが大変困難な状況に陥ってしまいます。
多くの場合、このような段階でコスト削減などの手を打っても無駄!と思われるかもしれません。無駄とはいわないまでも、危機回避には間に合わないと思われたり、手を打ちたくてもその余裕すらないといった状況になっているかもしれませんね。
ですがここが肝心。コスト削減などの計画は返済猶予や事業再生について金融機関などと交渉する際には不可欠な要素であるからです。こうした問題に手をつけずして再生への道はありえません。返済の確実性を担保する説得力のある再生計画書を作成する際には、自社のコスト削減プランがひとつの有効な材料となるのです。
倒産という状況に直面してからでは遅すぎます。来年の消費税増税が決まってから慌てなくても済むように、いまから自社の収益性改善について再考し、コスト削減などといった即効性のある戦略を練ってみてはいかがでしょうか。