
異業種M&A事例【印刷業×製造業】

M&Aによる事業の拡大・最適化は直近の経営のトレンドであり、政府の各機関もガイドライン作成や税制優遇などによってM&Aの実行を後押ししています。
今回は、事業拡大の一手として行われた異業種間のM&Aの興味深い事例(記事)をご紹介します。
三光産業の事業拡大M&A
参考記事:姫野陽平,2023年『[業を継ぐ]異業種が承継 多角化図る』,読売新聞オンライン(2024/3/13取得,https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/feature/CO050392/20230202-OYTAT50018/)
三光産業株式会社(シール・ラベル印刷、東証スタンダード上場)は、ペーパーレスにより主業の市場が縮小する中で、新たな収益源となる事業を生み出すべく、あえて全くの異業種の製造業を買収しました。
同社が2022年に買収したベンリナーは、山口県にある刃物メーカーです。
かねてより後継者不在によるM&Aを検討はしていましたが、従業員の雇用や商品を守るという社長の希望を叶える買い手が見つからず、いくつか破談になっていたそうです。
その中で、三光産業は「そのままでやってほしい」とベンリナーのすべてを引き継ぐ提案をしただけでなく、日本製にこだわる会社理念を伝えたそうです。この理念にベンリナーも共感し、双方にとって理想的なM&Aが実現しました。
三光産業は当時のインタビューにて「自社のアジア拠点も活かし、ベンリナーの販路を拡大する」と話しており、その後の2023年には刃物製造とシナジーのあるゴム製品メーカーを買収するなど、ベンリナーを育てる取り組みを進めています。
異業種M&Aだからできること
”自分たちの事業を強くするため” だけではなく、多角化のために ”新たな事業を買って育てる” という観点での異業種M&Aは、「事業が離れているからこそ、本来の社風や強みを残したM&Aを実現する」ことが可能です。
事業の買収を検討する際は、買収した企業を数年後にどのような形で成長させ、シナジーを生み出したいかを考えた上で、どのような会社と手を組みたいかを整理することが重要です。