7つのS
ながらく、「企業の寿命は30年」と言われてきた日本の企業風土にも、変化のきざしが見受けられる時代となってきたようです。
寿命が長ければ良いというものでもありませんが、経営資源を最適に活用できてさえいれば、おのずとその活躍の幅も広がるはず。そこで、今回は最適な組織運営の在り方について考えてみたいと思います。
組織マネジメントを最適化するフレームワーク
経営資源を最大限に活用するため、もっとも重要なのは組織運営の在り方です。組織を円滑に運営するためには、組織マネジメント力が必要となります。
組織マネジメントを考える際に役立つのが、マッキンゼー社が提唱する「7つのS」というフレームワークです。7つのSとは、「戦略(Strategy)」、「組織(Structure)」、「システム(System)」、「スキル(Skill)」、「人材(Staff)」、「社風(Style)」、「価値観(Shared Value)」の頭文字をとったもの。優れた企業の在り方とは、これら7つの要素が互いに補完しあい、強めあいながら、経営戦略を実行していくものとされています。
7つのSはハードとソフト、2つに分類されます。
まずは、「ハードの3S」について細かく見てみましょう。ハードの3Sにあたるのは、戦略と組織、システムの3つ。「戦略」とは競争優位を維持するための事業の方向性などを指し、「組織」とは社内組織の構造、「システム」とは人事評価制度や報酬制度などを指します。
つぎに、「ソフトの4S」について。これにあたるのは、価値観とスキル、人材、スタイルとなります。「価値観」とは全社で共有できる価値観を指し、「スキル」とは組織全体の能力、「人材」とは社員や経営者のこと、「スタイル」とは経営スタイルを指します。
こうして分けて考えてみると、7Sそれぞれの特性が明らかとなり、組織マネジメントを強化する際のポイントがみえてきます。
ハードの3Sは、時機や需給のバランスに応じて、比較的容易に変更することが可能なもの。逆にいえば、戦略や組織、システムについて、臨機応変に対応することが組織マネジメントには必要であるということになります。
また、ソフトの4Sについては、再構築したり、変革したりするためには大変な努力と時間が必要です。しかし、これを経ずには組織の変革はできません。先行する3Sとともに、4Sの遂行を実践してこそ、真の組織マネジメントを実践することになるのです。