2024年こそエレベーターのリニューアルを
日本では、35~30年前のバブル経済で数多くのビルが建てられました。この時期に建った多くのビルのエレベーターが2024年、リニューアルの時期を迎えています。
エレベーターの「リニューアル」とは
一般に、乗用エレベーターの期待耐用年数は25~30年前後で設定されており、これを超えると駆動装置の老朽化や旧型のパーツ供給の停止などで、エレベーターの安心・安全な運行の保証が難しくなります。建物の移動の要であるエレベーターで事故があってはなりませんから、古い装置はパーツ供給が潤沢な新しい装置に入れ替える必要が出てきます。この入れ替えのことを「リニューアル」と言います。
エレベーターのリニューアルは定例的な保守とは違い、少なくない費用が瞬間的に発生します。そのため、『まだ問題なく使えているから…』と検討を先延ばしにしている場合が多くありますが、事故のリスクに鑑みると、適切なタイミングのうちに必要な分だけリニューアルを実行することが重要です。
エレベーター事業者の種類
エレベーターに関わる事業者は、大きく「メーカー系」と「独立系」に分けることができます。
①メーカー系
エレベーターの完成品の供給を事業の中心におき、付帯サービスとして供給したエレベーターの定期保守も行うのが一般的です。中でも三菱・日立・東芝・日本オーチス・フジテックの5社が日本のエレベーターの大半を占めることから、「5大メーカー」としてまとめられることが多いです。
②独立系
エレベーターの保守業務の提供を事業の中心に置く企業群です。エレベーターの保守業務のみをメーカーから切り離した上で、純正品や同等のクオリティの汎用品を使い、メーカーよりも安価な価格で保守業務を提供します。中にはエレベーター本体の提供が可能な事業者もおり、昨今のリニューアル競争に参入していることもあります。
リニューアルにおけるエレベータ事業者の選び方
エレベーターの期待耐用年数は25~30年前後ですが、制御盤や巻上機など多くの装置から成り立っており、必ずしもこの年数ですべての装置が寿命を迎えるわけではありません。耐用年数を超過する装置だけを入れ替える事ができれば、コストを抑えながらエレベータの機能を維持することが可能です。
メーカー系のリニューアルは、多くの場合まだ使える装置も含めたすべての装置が対象となり、本来の必要以上の費用が発生することがあります。一方、独立系の一部事業者はメーカー系エレベーターの耐用年数を超過する装置に対象を絞った交換に対応しており、本当に必要な装置のみの入れ替えを行える独立系は、メーカー系よりも安価なリニューアルとなることが多いです。
エレベーターのリニューアルの取り組みにおいては、現在のメーカー・保守事業者との契約にとらわれず、幅広い事業者の選択肢を持つことが成功のポイントです。