IT活用による業務改善
オフィス向け複合機やデジタル印刷機などを主たる事業として、世界200カ国の国や地域で営業活動を展開しているリコー。同社では2014年4月から、生産や販売、会計などの基幹システムの開発や運用を行ってきたIT/S本部を廃し、新たな組織を発足させたそうです。
新たな組織とは、IT/S本部と経営企画部門の一部やBPR(Business Process Re-engineering)を担ってきた部門とを統合した新組織。目指すのは、データを基に現場が業務のPDCAサイクルを迅速に回せる環境の実現なのだとか。
IT徹底活用のために組織を強化し、業務改革への足場固めを果たしたリコー。その今後の動向に注目したいと思います。
業務改善へとつながるIT活用力を!
ITRが発表している『IT投資動向調査2015』によれば、情報システム子会社のある企業の総従業員数に占めるITスタッフの正社員比率は平均2.7%。子会社のない企業ではわずか1.9%となっているそうです。
こうした調査結果からも分かるように、本社のIT部門に最低限の機能だけを残し、それ以外の業務をシステム子会社やITベンダーに委ねることで組織のスリム化をはかってきた企業は多いと思います。しかし近年は前述のリコーのように、実戦部隊としてのIT部門活用を目指す企業もではじめています。
今後、さらなるITイノベーションが予測される世の中にあっては、真のIT活用力のある企業だけが業務改善を実現し、生き残ることができるのではないでしょうか。
IT活用に成功している多くの企業では、その前段階である手作業による情報活用の仕組みが徹底されています。データ収集の仕組みがなければ、IT化の基礎が成り立ちません。まずは営業日報や生産日報、クレーム情報、ミスロス記録などといった貴重なデータをきちんと収集できるよう、業務の改善に取り組むことが必要です。
それから自社のIT部門をより戦略的に組織するため、またITベンダーをより効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。それはIT活用における自社独自のルールや標準を整備すること。そしてそれに合わせて組織を最適化することです。
自社の業務における情報収集のシステムを徹底すること。IT化におけるルールの整備を進めること。組織を最適化すること。このようなポイントを抑えることで、IT活用による業務改善を実現することができるのではないかと思います。