税務デューデリジェンス
税務デューデリジェンスとは、M&Aにおける税務リスクを把握して、万全な体制を整えることです。また、企業内部における税務コンプライアンスの向上を実現するものとしても注目を集めているのが税務デューデリジェンスといえるでしょう。
企業の合併や買収時においては顕在的リスクはもちろんのこと、潜在的リスクの洗い出しは必要不可欠となります。事前に確認すべきポイントとしては、「調査の目的」、「対象法人の確定」、「税目の確定」、「調査対象年度の確定」の4点が上げられます。
税務デューデリジェンスは、行うタイミング、調査範囲が重要な鍵を握ります。適切に、素早く調査出来なければ、他の企業に先を越される場合がありますから、あらかじめ範囲を決め、的確な判断材料を集め比較検討しなければなりません。
税務デューデリジェンスの調査内容
実際の調査内容は以下の通りです。
①企業取引内容の把握
企業間取引で生ずる税務関係はもちろん、過去の組織再編や資本取引などの税務処理の把握についても調査します。
②過去における税務関係書類の調査
申告漏れ等、潜在的なリスクや見逃しがないか精査します。
③税務関係の基礎資料の吟味
税務の企業体質を調査・分析します。
④経営陣、税務担当者へのインタビュー
経営者や担当者、または税務アドバイザーから情報を導きだします。
法人税をはじめ、法人事業税などあらゆる税務申告において調査し、相手企業に潜んでいる税務リスクを把握することで、正確な影響額を割り出し、M&Aに値する企業であるのか否かを見極めていきます。
M&Aによる繰越欠損金制度を適用させることにより、法人税の納税額を抑えるメリットが語られますが、その際におきましても、企業規模における適用割合の違いなど、様々な制約等がありますから、気をつけなければなりません。調査結果の報告だけではなく、税務コストの最適化についての専門的なアドバイスから、M&Aの支援を行います。
また、企業内部の税務デューデリジェンスも、内部統制の強化や税務リスクを回避・軽減するものとして重要視されています。万が一、コンプライアンス違反が明るみに出た時は、本税だけではなく、加算税、延滞税が課され、大きな負担がかけられてしまいます。また、重加算税が課されるような事になれば、企業のレピュテーションに悪影響が及び、売上高の激減や株価の暴落の原因となりますので、税務デューデリジェンスは、企業内外においても重要な項目と言えるでしょう。