組織成長を促す改革
ここ数年、企業でよく耳にする悩みが「若手の業務に対する意識の低さ」「判断できる人材が育たない」「特定の人に依存した業務をなくしたい」といった内容のものです。人材成長に対する課題意識が強くなってきており、プロセス改革による標準化・効率化との両立に悩んでいる企業が多いようです。
プロセス改革の目的として、業務の効率化や品質向上によるコスト削減などがよく言われますが、組織力・個人力の向上こそが会社組織として目指すところではないでしょうか。組織力・個人力の向上は売上増加に寄与し、会社が発展する上で重要な要素の一つです。
まず改革を進めていく上で、改革チームの組織化が必要だと考えられます。実務との兼任での改革実行は工数的に難しく、個人だけではスピードが遅く現場を巻き込むことが困難だからです。
立ち上げ・初期段階では改革チームが主導で改革を実行し、「目標設定・スコープ設定・可視化手法・ヒアリング手法・ナレッジ化手法」などを活用し、プロジェクトリーダーやワーキングリーダーなどが中心となって積極的に改革を推進していけるようにもっていきます。そして、継続的に改革・改善を行ない、現場での実運用を行なって効果をあげられるようになることが理想です。
上記のような理想の状態とするためには、人材の成長が不可欠で、全社員が下記の「人の成長には5段階ある」ことを十分に理解する事が必要です。
- 第1段階 知らない → 知っている(目的や意味、そしてやり方を理解していない)
- 第2段階 知っている → 理解している(目的とやり方を解っている)
- 第3段階 理解している → だいだい出来る(出来る時もあれば、出来ない時もある)
- 第4段階 だいたい出来る → 完全に出来る(任せて安心と言える)
- 第5段階 完全に出来る → 人に教え、育てられる(これで初めて「プロ」と言える)
第3段階で成長が止まっていたり、第4段階で一人前と勘違いしたりする社員がいると組織の成長は停滞してしまいます。いかに、第5段階の人材を育て、確保できるかが、企業が継続的に成長していけるかに大きく関わってきます。
個人の上記各段階の成長を促すための教育として、大きく4つの教育手法があるので、簡単に述べておきます。
- ティーチング 目的と意味とやり方を順序立てて教える
- トレーニング 訓練する場や機会を与える
- カウンセリング 悩みを聴いてあげる
- コーチング 本人の意見・考えを聴きだし、自主性を引き出す
時間と手間がかかっても、労力を惜しまず、これらを適宜用いて、個人個人の成長段階を上げ、人材を人財とすることが、企業の組織力の向上につながっていくと考えられます。