システムデューデリジェンス
人事・法務デューデリジェンスと同様、M&Aの際に重要となるシステムデューデリジェンスについてご紹介してみましょう。
システムデューデリジェンスとは、買収相手企業の持つ情報システムについて現状を把握し、コストやリスクの洗い出しを行うことです。ITシステムの内容、その質や運用状況、コスト、リスク、将来予想されるリスクなど調査し、評価を行います。評価の結果は買収価格にも影響を及ぼすため、慎重で正確な結果が求められます。
M&Aを実施するにあたり、相手企業内の管理システムをどのように自社に統合するのか、その方策を探るためにもシステムデューデリジェンスは必要不可欠です。人事労務や財務会計、顧客管理、販売管理といったシステムを、どのように統合すればもっとも効率良く運用できるのか?その具体的な答えを導き出す必要があります。
システムデューデリジェンスの範囲
- ハードウェアやネットワークなどのインフラ基盤
- 人事労務や財務会計、顧客管理、販売管理などのソフトウェア
- IT部門マネジメント
- ITユーザーマネジメント
- 外部ベンダーやサーバ管理会社
システムデューデリジェンスの内容
システムデューデリジェンスでは、①投資額算定のためのシステム自体の価値、②統合後のマネジメントに必要な現況把握といった、2つのアプローチが必要となります。
①システムの価値
相手企業の持つITシステムについて、その金額的な評価を行います。これはM&Aの買取価格にも影響を及ぼすため、慎重に算出する必要があります。
システムの価値を評価するのは簡単なことではありません。方法としては、製造原価法や回収期間法、ファンクションポイント法があります。
- 製造原価法
システム開発に要したコストを積み上げて製造原価を算出し、それを基にシステムの価値を算定する。 - 回収期間法
システム稼働に伴う営業利益を予測し、初期投資コストの回収期間内の営業利益をシステムの価値とする。 - ファンクションポイント法
システムの機能規模をポイントとして換算し、その合計をシステムの価値とする。
②システムの現況
統合後も有効に運用するためには、相手企業のシステムの適応性や拡張性、追加投資の有無やリスクなどといったシステムの現況を評価する必要があります。システムデューデリジェンスを適正に行っておかないと、統合後の事業拡張にシステムがついていけず、想定外のコストを招く恐れがあります。
情報システムを改修するために追加投資が必要となれば、M&A自体が失敗してしまうことにもなりかねません。M&Aを実施する前にシステムデューデリジェンスを行っておけば、リスクを回避して適切な経営判断を行うことができるのです。