物流改革とアウトソース
近年はどの業界においても競争力強化のために物流改善をはかっています。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会が発表している「2017年度物流コスト調査報告書」によれば、2017年度の売上高物流コスト比率は4.64%。労働力不足による影響もあった前年度の4.97%よりも下降しましたが、近年はおおむね5%弱の水準にあるようです。
報告書では物流コスト削減策の実施状況についても調査を実施。物流コスト削減策として多くあげられているのは「オペレーションの改善」や「在庫削減」、「物流拠点の見直し」、「保管の効率化」「包装・梱包方法の見直し」などとなっています。
このような取り組みによって物流コストの削減を目指す企業は多いようですが、反面で物流に関するさまざまな悩みもあるようです。経済産業省の発表によれば「小ロット、多頻度オーダーの増加」や「輸配送コストの増加」、「在庫過多」などについて、多くの企業が物流課題としています。
物流コストを下げて競争力強化を
こうした物流に関する悩みを解消する手段となりうるのが物流業務のアウトソーシング。経済産業省では、「ものづくり企業をはじめとした荷主企業が物流改革を、とくにアウトソーシングによって行うとする際のマニュアル」として『物流アウトソーシングマニュアル』を公表しています。このマニュアルでとくに重要なポイントとして紹介されているのは以下の8つのポイントになります。
ポイント1. 物流課題を因果関係や内容によって整理する
ポイント2. 物流の方針・目標が自社の戦略を合致しているかを判断する
ポイント3. 物流コストの把握によって、物流を管理・改善する
ポイント4. 「物流コスト算定統一マニュアル」を活用する
ポイント5. 物流課題や改革策は管理レベル別に捉える
ポイント6. 物流のトレード・オフ(二律背反)を考慮する
ポイント7. 物流改革をPDCAサイクルで実施する
ポイント8. 物流改革は広い範囲で検討することが大きな効果を生む
なかでもとくに重要な2つのポイントについて詳しくご説明したいと思います。まずはポイント3の「物流コストの把握によって、物流を管理・改善する」ということ。
物流コストを把握するには、輸配送費や保管費、荷役人件費、設備備品、資材などのコストを数値化する必要があります。ここで重要なのは、それぞれのコストを作業単位別に把握すること。担当者任せでブラックボックス化されているような点までも、きちんと数値化して把握しきれるかどうか。それによってアウトソーシング化が効果を生むかどうか、的確な判断をすることができるのです。
アウトソーシングすることは、コストをより可視化することができますので、全体的な視野からコスト削減に対して有効な対策をより取りやすくなります。
また、コスト削減等定量的なメリットだけでなく、アウトソーシングすることでの定性的なメリット、例えば災害時を想定したBCP(事業継続計画)がどのくらい期待できるのも指標に考えることも必要になります。