情報システムを活用した経営革新
2014年10月15日から東京ビッグサイトで開催された日経BP社主催の『IT EXPO 2014』。会場には6万人を超える来場者が訪れ、大盛況となったようです。
近年もビッグデータやクラウドソーシング、スマートフォン、モバイル関連の最新展示などがあり、新たなビジネスチャンスを発掘すべく多くの方が関心を寄せていました。また新たなIT技術を如何に活用すれば、新たなビジネスの創出や既存ビジネスの改革に取り組むことができるのか?といったテーマで熱い議論が交わされていたようです。
IT戦略が企業を変える
景気回復が本格化し、上場企業の前期決算はリーマン・ショック前の利益水準にまで回復しています。このような企業に共通しているのは、「攻め」と「守り」のバランス良い経営を推進しているという点。新製品開発とコスト削減といった「攻め」と「守り」の両輪をバランス良く回している企業では、経営支援ツールとして情報システムを上手に活用しているという共通点も見られます。攻めの経営面では新規顧客開拓や新製品開発、守りの面では業務プロセスの改善でITを活用することで、さまざまな改革や改善をスムーズに推進することができるのです。
ここでいくつか企業のIT活用事例をご紹介したいと思います。
まずは回転寿司チェーン「スシロー」を経営する株式会社あきんどスシローの事例から。2013年9月期で店舗数362店舗、連結売上高1,193億円という業界トップクラスの規模を誇るスシロー躍進の背景にはITシステムがあるといわれています。スシローでは回転する皿にICチップを埋め込み、商品管理を行っています。また商品の種類別に店舗ごと、時間ごとの消費データを把握するシステムも構築。こうした情報システムによって廃棄量を減らし、品質とサービスの向上を実現しているのです。
つぎにご紹介するのは、ANAの事例。航空業界の競争環境の変化を受けて基幹システムの刷新を進めるANAでは、2015年に国際線業務向けのシステムを完全クラウド化。世界の航空会社の3分の2が基幹システムをクラウド化するなか、世界共通のサービスを提供できるシステムを導入し、グローバル経営化を図るものとしています。
ANAではこうしたグローバル化とは別に、搭乗者に合わせたメールによる情報配信システムも構築。きめ細やかなサービスの提供によって競争優位性を高めているそうです。
経営支援ツールとして、また顧客や商品、サービス管理のシステムとして、ITはもはや欠くことのできないもの。こうしたIT技術はモバイル化、クラウド化し、より便利に活用できるようにもなっています。とはいえ、その最適な活用法というのは企業それぞれによって違うもの。コスト削減や業務改善などといった経営革新を推進するツールとして情報システムを上手く活用するには、如何に最適化するかということが重要になるのです。