社会に必要とされる企業とは
人々の不安をあおり、さまざまな方面に波紋を広げつつある日本年金機構の問題。何百万件もの個人情報が流出や管理体制の不備、問題発覚の経緯やその後の対応などについても調査が続いています。
このほか東京商工会議所でも、標的型メールによるウイルス感染によってセミナー参加者名簿など、延べ1万2,139人もの個人情報が流出していた可能性があるとみられた事件もありました。個人情報の流出という事態による社会への影響は測りしれません。高度に進化しつづける情報化社会の一員として、今後ますます組織や企業の社会的責任が重視されることになりそうです。
企業の永続性を支える2つの柱
企業においても重要な関係先は顧客や消費者だけではありません。事業に影響するさまざまな利害関係者(ステークホルダー)が存在します。それは株主であったり、従業員であったり、取引先や顧客、消費者、地域社会、自治体、政府、海外諸国など、企業を取り巻く社会全体として見ることができます。
さらに企業の永続性を考えるならば、現在のステークホルダーだけでなく、将来に関わる可能性のあるステークホルダーまでをも考慮に入れる必要があります。こうしたステークホルダー(=社会)との関係性を良好に保つことが、企業の永続性を支えるものとなるのです。
ステークホルダーとの良好な関係を築き、社会から真に必要とされる企業となるには2本の大きな柱が必要となります。
1本目の柱は、業績の維持や改善・向上に関する的確なマネジメント力。利益を上げ、業績を維持するだけでなく、利益管理を徹底的に行い、利益体質を実現しなければなりません。
2本目は、企業不祥事の防止に関するマネジメント力。不祥事に対応し、それを防ぐだけでは足りません。あらゆるステークホルダーからの求めに応じて、適切な意志決定と説明責任を果たすことのできるCSR(企業の社会的責任)態勢を築かなければなりません。
利益を生みだしつづけるマネジメント力と、不祥事を防止するマネジメント力という2本を柱として企業行動を起こすことで、はじめて社会に必要とされる企業としての責任を果たすことになります。そうした企業行動の結果が自社の永続性を支えることになるのです。