業務改善とKPI
業務改善のためにもっとも重要なのは、現状把握と評価を継続して行うこと。業務のモニタリングを繰り返し行うことで、コスト削減が進み、より戦略的な経営方針へとフィードバックすることができるのです。
こうした現状把握と評価を効率的に行うためには、KGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicators)といった、重要業績評価指標を活用します。これらの指標は、企業活動における重大な組織目標を達成するため、先行して設定されるもの。KGIは目標の達成度を定量的に表す指標で、KPIは目標に向かうプロセスの実施状況を計るため、パフォーマンスを定量的に表す指標。たとえば、KGIでは売上高や顧客数を設定することが多く、KPIでは回転率やリピート率などを指標として設定する場合があります。
こうした指標は、戦略的な経営システムとして注目されているBSC(バランスト・スコアカード)においても、現状を把握する指標として活用されます。BSCでは、企業活動を「財務」、「顧客」、「業務プロセス」、「学習と成長」といった4つの視点で分類。それぞれの視点ごとに主要成功要因(CSF)や業績評価指標(KGI、KPI)を設定し、そのモニタリングを繰り返すことで、経営全体を掌握して管理するシステムです。このBSCの4つの視点のうち、業務改善のためには「業務プロセスの視点」がとくに重要となりますが、業務プロセスを定量的に計るためにもKPIが活用できるのです。
では業務プロセスの視点においては、具体的にどのようにKPIを設定すればよいのでしょうか。ここでは飲食店の接客サービスを具体例にあげてみましょう。飲食店において、注文を受けてから料理を配膳するまでにかかる時間は、業務改善のためのひとつの指標となるもの。注文(インプット)と配膳(アウトプット)の時間が短縮されれば、回転率が上がり、売上アップにもつながります。この「時間」をKPIとして設定することで、業務のプロセスが明らかとなり、改善のための目標も見えてきます。KPIを設定するためには、まず現状をモニタリングするため、業務フローチャートを作成して、そのプロセスを明らかにします。そしてインプットとアウトプットの時間を計測し、KPIとして設定します。このとき明らかとなった業務プロセスをチェックし、その問題点や改善点をあげることで、時間短縮のための筋道が見えてきます。
定量化されたKPIをさまざまな視点から比較することは、さらなる業務改善に役立ちます。店舗による比較だけでなく、店舗の属性による違いをチェックすることや、同じ店舗内でも担当者や時間帯による違いをチェックすることも必要です。また同じプロセスにおいても、「時間」だけでなく「費用」や「品質」など、さまざまな指標をKPIとして設定することもできます。KPIによって、業務プロセスを定量化して現状把握することで、より効率的に業務を改善することができるのです。