
歴史に学ぶ経営手法
2015年のプロ野球日本シリーズは4勝1敗で福岡ソフトバンクホークスが圧勝。2年連続して日本一の座を獲得しました。その圧倒的な強さの秘密は、革新的な球団の経営手法にあるといわれています。
福岡ソフトバンクホークスの革新的な経営手法といえば、2011年から導入した「3軍制度」によって育成選手に実戦経験を積む機会を作り、チーム強化へとつなげていることがあげられます。また自前の本拠地球場を取得して収益性をアップしたことも、球団全体のモチベーションアップへとつながっているようです。
こうした革新的な経営手法は業績向上を目指す経営者の良いお手本となるはず。福岡ソフトバンクホークスの勝利を励みに、さらなる経営革新へとまい進していきたいものですね。
経験から何を学ぶのか?
経営革新とひとくちに言っても、打つべき戦略は企業によっても、その時機によってもさまざまだと思います。そこで今回は経営手法について歴史に学んでみたいと思います。
日本の歴史に深い陰を落としているのは、先の大戦の記憶です。2015年は安保法制改正という大きな転換点を迎えたこともあり、「いま一度その辛い記憶を呼び覚まし、未来の日本のために活かさなくてはならない」と感じた方は多かったのではないでしょうか。
企業経営の分野でも過去の歴史から学ぶことは多いもの。とくにわが国の敗戦という過去の経験から学ぶことは多いものです。
さきの大戦の転換点となったのは、ミッドウェー海戦で海軍が敗れたこと。陸軍もガダルカナル戦をきっかけに敗戦への道を進み始めることになります。その遠因となっているのは、2次大戦のさらに前、西南戦争や日清、日露といった戦争で勝利したことにあるという見方もできるのではないかと思うのです。
かつて勝利した経験から白兵銃剣主義を捨てられなかった陸軍、艦隊決戦主義から脱却できなかった海軍。それぞれの組織も日露戦争当時のままで、戦略発想を転換できるような風土を築くことができていませんでした。そのため大艦巨砲主義から航空主兵主義への転換も叶わず、敗戦への道を突き進むことになってしまったのではないでしょうか。
「過去の成功に頼ってばかりではいられない」とは、企業を経営するうえでも言えること。時代や環境に適応し、さらなる成長を遂げたいなら、既存の知識を疑い、新たな知識を獲得する努力を怠ってはいけません。
また組織が成長し続けるためには既存の秩序や枠組みを解体し、組み替える新陳代謝も必要です。パターン化した繰り返しを避け、フィードバックと反省を繰り返すことで、はじめて革新的な経営手法が生みだされるのではないでしょうか。
重要なのは歴史や過去の経験から何を、どう学ぶのかということ。勝利の法則などというものは存在しません。時代とニーズに合ったフレキシブルな組織こそが勝利を手にすることができるではないかと思います。