海外進出を成功させるためには
いよいよ調印となったTPP(環太平洋パートナーシップ)協定に関する興味深いデータが公表されました。帝国データバンクが発表したTPP協定に関する企業の意識調査結果によれば、64.5%の企業が「TPPは日本に必要」と回答しているそうです。また海外進出を果たしている中小企業の30.9%が「海外で新しい商機が生まれるためプラスとなる」と回答しているそうです。
縮小傾向にある国内市場だけを見ているのでは、TPP協定が及ぼすプラスの効果を見出すことは難しいかもしれません。けれどもすでに調印された協定であることは事実。そのプラスの側面を見極め、自社の新たな戦略を打ち出す好機と捉えてみてはいかがでしょう。
成功のためのポイントとは
海外進出を成功に導くためには、大きく分けて3つのポイントがあります。
第1のポイントは、独自のグローバル戦略を打ち出すことです。例えば、スウェーデン発祥の世界最大手の家具ブランドであるイケアでは、進出する国に合わせて商品開発を行っていること。コカ・コーラの味が世界中で微妙に異なっていること。またマクドナルドが各国で限定商品を販売していることなどのように、進出先に合わせた独自のマーケティング戦略を打ち出すことが、グローバルに活躍するためには必須となります。
第2のポイントは、海外現地法人のパフォーマンスを最大限に高めることです。現地法人のパフォーマンスを高めるには、つぎの5つのポイントが重要になります。
- グローバル・タレント・マネジメント
海外現地法人の中核を担う人材のマネジメント。グローバルに活躍する人材を管理するには、その採用や育成、配置、評価、処遇、維持といった5つの管理を実施することが重要になります。 - パフォーマンスマネジメント
現地法人のスタッフに対する評価や登用の基準を明確に示し、さらなる能力開発へとつなげます。 - 知識移転
本社や先行する地域で生みだされた独自の技術やノウハウを、新たな拠点でも活かすことができるようマネジメントすることが重要です。 - 組織開発
本社に倣うのではなく、現地の風土や文化を踏まえて組織開発をすることでグローバル化をはかる。 - 信頼関係構築
昇任や登用の制度を明らかにし、退職金や充実した福利厚生などによって、長期雇用をアピールして労使の信頼関係を築くことが重要です。
第3のポイントは、上記の5つの人事施策を目標に応じて的確に実施することです。
例えば、営業利益の成長を成果指標として掲げる場合。本社などで開発された技術や知識の移転、経営者と現場との対話や従業員のアイデアを活用するなどの組織開発を人事施策として積極的に実施します。また現地スタッフの満足度向上を目標に掲げる場合には、パフォーマンスマネジメントや信頼関係構築のための施策を実施します。
海外進出を成功させるには、以上のようにグローバル戦略を明確化して現地法人を生きた組織に育て上げることが重要になります。そのためにはまず本社の体制作りが肝心。経営者の生の声を現地に届けるための組織づくりが重要なのです。