機会コストとは

#コスト削減

予算編成や経営計画策定という重要な意思決定の際に、端的に経営状態を示すデータを抽出し、分析するのに役立つのが管理会計です。前回は、管理会計上の重要な概念のひとつである「限界利益」についてご説明しました。今回は、管理会計特有の原価のひとつである「機会コスト」についてご説明します。

管理会計の特殊原価・・・機会コストを知る

機会コスト(オポチュニティーコスト)とは、ある決定を下した場合に、他のもっとも有利な選択肢から得られたであろう利益のことです。1つの選択肢を選んだために、他の選択肢から得られたであろう利益を取り損ねるということから、逸失利益と呼ぶこともあります。これは財務会計では計算されませんが、管理会計上、考慮される特殊原価のひとつとなります。

例えば、利益100万円の事業A案と利益90万円の事業B案があった場合、A案を採用してB案を不採用とすれば、B案の利益分90万円が機会コストとなります。機会コストは財務会計にはあらわれない原価ですが、投資判断などの意思決定に影響を与えるものです。逆に言えば、機会コストを含めて考慮しないと、重要な意思決定を誤りかねません。とくに、2つ以上の事業の選択肢がある場合には、より有利な選択を行うために必要な概念となります。

ここで、一般的に機会コストが活用される場面をあげてみましょう。工場で増産の決定を下す際には、在庫切れによる売り逃し利益が機会コストとして考えられます。また設備の導入を断念した際には、その設備を導入することで得られた利益が機会コストとなります。このように、選択しなかった他の有効な選択肢を機会コストとして考慮することで、選択された事業の意義や求められる利益目標がおのずと明確になるのです。

また、機会コストと実現利益を比較することで、事業展開の成否判断に活用することもできます。選択した事業で利益が上がれば、財務会計上は利益となり、その事業は成功したと判断されます。しかし、機会コストと比較することで、別の選択肢の方がより多くの利益を獲得できたということになるかもしれません。こうした計算を考慮することで、その後の事業で同じ過ちを繰り返すことなく、より有効な経営判断を下すことができるようになります。

企業活動とは、限りある資源を有効に投資することで利益を上げることに他なりません。機会コストを検討すれば、人的に、金銭的に、また時間的にも限られた経営資源を、より有効に投資するために役立ちます。

ただし、機会コストの導入には、慎重になりすぎ、消極的になりすぎてしまうなどといったデメリットもあります。企業経営に必要なのは、明確なデータと理性的な判断。マインドまで左右されてしまわないよう、気をつけたいものです。

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よくあるご質問

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    ①総勘定元帳から、各コストを項目別×発注先別×拠点別(店舗別)に分類のうえ全般的なコストについて分析
    ②削減を希望するコストの契約書・請求明細から、取引先×単価×数量を把握し、個別に削減見込額を分析
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    コンサルティング契約はクライアント企業様と当社との包括契約となります。契約内容には、フィー体系やコンサル内容の規定をしております。具体的な内容については契約書のドラフト及び別紙「コンサルティングの進め方」にてご説明させていただきます。
  • 業者や貸主との交渉など、クライアント側担当者の作業(事務)負担は?
    コスト分析から削減手法の策定及び各業者や貸主との交渉は当社主導で実施いたします。(クライアントのご担当者様には同席をお願いしております)交渉の進め方は交渉前にクライアント様にご報告させていただき、ご了解の上で交渉に着手いたします。
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    コンサルフィーは削減が実現できた場合のみ発生いたします。
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