過剰品質の見直しとコストダウン
ネットニュースで気になる記事を読みました。それは『もっとも残業時間が多いのはどの業界か?』という記事。
就職や転職情報などを扱うボーカーズでは、残業時間に関する調査リポートを発表しています。その調査結果によると、もっとも残業時間が多い業界は「コンサルティング、シンクタンク」で月83.5時間、2位は「広告代理店、PR、SP、デザイン」で月78.6時間、3位は「建築、土木、設計、設備工事」で月70.8時間となっているそうです。
この結果についてボーカーズでは、残業時間が長いのは成果物を生み出す仕事が多く、締め切りまでに一定の品質を達成するために残業時間が長くなってしまうのではないかと推測しているようです。ちなみに平均残業時間は20~30代で50時間前後、40歳手前から減少する傾向にあるそうです。
現在、安倍政権ではホワイトカラー・エグゼンプションを検討していますが、これが労働時間の短縮に効果を発揮するかどうかは疑問。いまコストダウンや労働時間短縮のためになすべきなのは、過剰品質の見直しなのではないでしょうか。
品質の向上が自己目的化していませんか?
品質の向上を求めるあまり、自社の製品が過剰品質となってはいませんか?
お客様のご要望以上に品質水準の向上を求めれば、余計なコストが発生し、従業員の労働時間を無用に長くしてしまうことにもなりかねません。自社製品へのこだわりやブランド意識はたしかに大切なもの。ですがそれ自体が目的化し、ニーズやコストとバランスしていないのでは、不良品とされた部品の山や規格外で廃棄される野菜や果物、賞味期限切れで廃棄される食品、長時間残業などといったムダを生み出すだけなのです。
過剰品質を見直すということは、品質判定基準の妥当性を見直すことに他なりません。判定基準となるのは、顧客のニーズをきちんと反映しているかどうか。顧客目線ということを再認識したうえで、受け入れ検査基準や工程管理基準、出荷判定基準について、その基準値が妥当であるかどうかを再チェックする必要があります。
このような基準の見直しは、部材を納品してもらうサプライヤーとの協働で行うことも必要となります。製品ロスや工程不良率などのデータを具体的に共有し、より適正な品質判定基準を設定することができれば、工程不良品が減少し、コストダウンをはかることができます。
もちろん判定基準を見直すということは、品質を下げるということではありません。あくまで過剰な品質をニーズやコストとバランスしたより適正な品質にするということになります。その製品が目指すもの、顧客志向がどうなっているのかといった点でブレずに、品質の向上を追求していきたいものですね。