業務改善手法
野村総研が2013年11月に発表した『ITロードマップ』によると、今後、2018年頃までに業務改善の鍵を握るのは、日本型データサイエンティストの活躍であると予測しているようです。高度なデータ分析力をもった専門家というだけでなく、さまざまなビジネスシーンで課題解決に向けた提案・検証・実行までをもこなす現場力のあるデータ専門家の登場により、今後の業務改善手法が大きく変化するものと期待されているのです。
IEによる業務改善手法
データサイエンティストの登場により、ビジネスの現場で大きな変革が起こりうるとはいえ、IE(インダストリアルエンジニアリング)による業務改善手法が活用される点は今後も変わりありません。それだけでなく、膨大なデータを活用する術を手に入れることで、IEがさらなる進化を遂げ、より画期的な業務改善手法を生みだすことにも繋がるのではないかと、非常に期待されています。
IEというのは、19世紀から20世紀にかけて起こった労働者の組織的怠業を打破すべく、製鋼会社に勤務していたテーラーによって発案された、作業測定の技術による化学的管理法をはじまりとしています。それまで行われてきた一定の課業を設定する管理手法から、標準時間の設定や訓練の実施、作業計画の作成、適正配置、奨励給制度などによる労働管理へと改善することで、より効率的な作業を実現することができるようになりました。
また、ギルブレスの動作研究もIEにおけるもうひとつの大きな柱となっています。建設業に従事したギルブレスは、レンガ積み作業で動作のムダを省く実験に基づく業務改善により、作業効率を上げることに成功しました。
こうした作業測定の技術や方法改善の技術などを基本として、それぞれの企業に合ったさまざまな業務改善手法が編み出されています。最近では、作業分析や標準作業書作成のためのコンピュータソフトウェアなども発売され、より詳細にデータを活用できるようにもなりました。しかし、標準化されたデータに従うばかりがIEなのではありません。
日本インダストリアルエンジニアリング協会の定義によると、IEとは「人、物、金、情報、時間などの経営資源を化学的な方法で活用し、市場が要求する商品とサービスを高品質、低価格、タイムリーに提供する」こととされています。
会社の大切な資源である「ヒト、モノ、カネ」を活かすことができるか否かは、経営者として、時代に合った業務改善手法を選ぶことができるかどうかにかかっているのかもしれませんね。