
利益の追求と原価率の低減
阪急阪神ホテルズを発端として、全国に広がった食品の偽装問題。その後、ほかの名門ホテルや百貨店で偽装が発覚するに至り、長年にわたるブランドイメージを損ない、消費者に不信感を抱かせる残念な結果となっています。
こうした偽装問題の根にあるのは、企業の主たる目的でもある利益追求。なかには、経営側からくだる厳しい原価率の低減要求に応えるため、代用食材を使用したという従業員もいるようです。
信頼失墜という重い荷を背負ってしまっては、その存在意義まで問われかねません。そうした事態を招くことなく真っ当に利益を追求するため、経営者には原価率の低減策を立案する際のポイントとなる次の3点について知っていただきたいものです。
原価率低減・・・3つのポイント
「さまざまな努力をして、もう下げられないというところまで原価率を下げてきた」という経営者は多いと思います。ですが次のポイントをおさえることで、コスト低減のための新たな視点を得ることになると思います。
まずは、コストにのみ左右されない事業の展開を考えるということ。業態によってはコストダウンのみが利益追求につながる道である場合もあります。しかし、そうでない業態もあるはず。付加価値産業やニッチを狙うなど、新業態を開発しましょう。
つぎに、重要なポイントとなるのは、売価の確保です。常に顧客のニーズにのみ応えているのでは限界がくるのも当然です。自社製品の価値を売り込み、売値アップの交渉を続けること。攻撃こそが最大の防御。ポジティブな営業戦略あってこそのコスト削減なのです。
最後は、原価率低減の基本となる労働生産性や労働分配率の向上について、ここであらためて述べてみたいと思います。
徹底して労働生産性や労働分配率を改善してこそ、売上総利益が向上するもの。企業の利益が増えれば、労働分配率は低下します。このサイクルに持ち込み、スパイラルアップへとつなげることが、原価率の低減策の最終的な目標といえるのではないでしょうか。