予算策定の考え方
予算管理の目的は、適したタイミングで迅速に自社の状況を把握して、予算と比較し、進捗状況に照らし合わせて予算が達成できるのかを把握することです。また、予算達成が困難だと考えられるのならば、その原因を分析・対策を立てて実行して、その対策が適切だったのかを後日確認・検討する流れを確立し、年度予算(経営計画)を実現することにあります。
つまり「PDCAサイクル」の確立です。
平易な言葉で表すのならば、「会社の問題点・課題を【見える化】する」となるでしょうか。
当初の予算に従って、売上・原価・経費などをコントロールし、予算を達成させることが予算管理の目的と言えるでしょう。
例えば、「このまま原価や経費をかけても売上は上がらず大赤字になりそうだ」と判断した場合、速やかに該当する事業を中断し、別の対策をとるのです。事業中止や根本的に売り方を変えられないようなら、予算より相当ダウンしそうな売上高に合わせた経費削減の方法を大至急考えて、実行するのです。
予算のコントロールをするには、月次決算が重要な役割を担います。
予算に対して結果はどうだったかという実績は、そのプロセス中の各段階でなるべく迅速に、リアルタイムに近い形で検証されることが必要です。状況の把握、レポーティング、それに対するフィードバックに時間がかかるということは、レポートの有益性は薄れ、フィードバックが効果も薄れます。スピーディーかつレスポンスよく行うことが大切で、かつ、レポートの情報の質を上げていくことも大切です。
予算は、企業の未来を予想したものと言えます。
それを基に経営のかじ取りをすると、どんなことも一度は頭で思い描き、シミュレーションしているので、途中で危機に直面しても落ち着いて対処できると思われます。予算を作る行為そのものが、リスク危機への対処法を含めた未来の経営の全てを頭に思い描くことなのです。
もし、予算を作らずにただひたすら仕事をしていても、どの程度不足なのか。充分なのか、この程度で満足していいものなのか、など比べるべきモノサシや目標がなく、判断のしようがありません。危機に直面したとしても、危機を認識するのが遅れることとなります。
このモノサシが「予算」で、予算達成に向けてコントロールすることが「予算管理」なのです。
予算管理は、経営管理の要となるものと言えます。経営層から現場の担当者まで、全社員が予算管理の必要性を認識することが最も重要です。そのことを改めて確認した上で、自社に最も適した予算管理の方法を構築してみましょう。