就業規則と社員の副業
社員の副業を認めるべきか否か。
アメリカや中国などの海外では、プライベートな時間に兼業や副業をすることを禁止している企業は少ないと言えます。
では、日本ではどうでしょう。
経済産業省の「平成26年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によりますと、企業の約96%が兼業・副業を認めていませんでした。
2016年4月の「新産業構造ビジョン」を受け、人口減少による人手不足を危惧した経済産業省は、兼業・副業や「雇用契約によらない新しい働き方」の柔軟な働き方についての研究会を設置。これからの雇用形態は変化していきそうです。
社員の副業について法律では憲法で職業選択の自由が保障されています。また、労働基準法にも副業を企業側が規制できるとは書かれていません。
もし、就業規則に副業禁止と明記してあるとしても、就業規則の方が労働基準法より優先されるのは社員に有利な条件だった場合のみです。
副業OKであることが、企業選びの条件という声も出始めていることも事実。社員の副業を認めるとしたら?そのメリット・デメリットと注意点について考えてみましょう。
副業を認めるメリット
- 社員のスキルアップ。本来ならば、自社で教育研修をして身に着けるスキルですが、社員は副業により幅の広い視野を持ち、新しいスキルが身に付き、人脈が広がります。
- 社員が得たスキルや人脈は、自社の力となります。多彩な人材力や技術力につながるでしょう。
- 離職率の低下とともに、人材採用において選択肢が増えます。
デメリット
- 知的財産の流出
- 疲労による生産性の低下
また、基本的に労働時間は本業と副業を合算します。法定の労働時間は1日8時間1週40時間を超える残業代等は、本業か副業かに関係なく、後で働く会社に支払い義務があります。たとえ一人でも時間外労働を課す場合は「36協定届」を労働基準監督署に届ける事も念頭に入れておかねばなりません。
社員の副業については、メリット・デメリットを把握した上で検討してください。副業を解禁するにしても就業時間外であることはもちろん、同業種禁止、許可制・申請制度あり、機密保持を徹底するなどリスクを抑える制約を設けるべきでしょう。