事業再生の立案
帝国データバンクの調査によれば、2014年上半期の倒産件数は4,756件。2013年上半期の5,310件に比べて10.4%減少し、リーマン・ショック前と同じ水準にまで回復したそうです。とはいえ、「ついにここまで回復したのか・・・」と簡単には喜べないのがいまの日本。大型倒産は事業再生ADRなどの再生スキームの活用によって抑制が続いているようですが、小規模倒産は今後どうなっていくのか。
安倍政権では「開業率が廃業率を上回る状態にして、米国や英国と同レベルの開・廃業率10%台を目指す」として、起業・創業支援を行ってきました。今後は新陳代謝を促進して廃業率を上昇させるため、中小零細企業の淘汰が進む可能性が高いという見方もでてきています。今後はこれまでのように抜本的な改善をしないまま、ただ資金繰り破綻を回避しているだけでは企業の生き残りが厳しい時代になります。そこで今回は事業再生の立案についてお話したいと思います。
事業再生には適材活用が不可欠
事業再生戦略を立案する際に重要なのは、会社の将来に危機感を抱く、やる気のある社員を積極的に起用すること。ある企業では、事業再生コンサルタントが作成したスキームを足がかりに、プロジェクトに志願した若手社員たちによって戦略構築を行ったそうです。意識の高い社員がプロジェクトに参加したことで、通常よりも短い期間で戦略を構築することができ、プロジェクトにより早く着手することができたのだとか。
このように適材を積極的に活用するには、前回のコラムでご紹介した社内フリーエージェント制度や職務公募制度などを採用してみるのも良いかもしれません。また出戻り社員の受け入れや中途採用、女性管理職の登用など、幅広い視点で適材を見つけ出すしくみ作りの必要性があるのではないでしょうか。
卓越した企業の条件を記した『ビショナリーカンパニー』の著者として有名なジェームズ・C・コリンズは、危機をチャンスに変えることができる企業は社員が適材であるとしています。
また適材には、1.企業理念を共有している、2.上から指示されなくても自主的に最大限の努力をする、3.仕事を与えられているのではなく、責任を与えられていると自覚している、4.有言実行、5.会社と仕事に対して情熱をみせる、6.成功したときは仲間のおかげとし、失敗したら自分の責任にする、という6つの特徴があるとしています。
適材を見極めて積極的に活用すること、ジム・コリンズが言うように「まず人選ありき(ファースト・フー)」で事業再生を成功に導きたいものですね。