採用はビジョンありき
スポーツチームの中に、スゴ腕のメンバーが加わったとしたら、チームのメンバーはどのような感情を抱くでしょうか?
「これで、ライバルチームに勝てる!」「優勝するのも夢じゃない!!」
メンバーの意気が上がり、目標へと向かって突き進んでいけるのであれば大成功と言えるでしょう。
しかし、「ライバルが増えた」「上手くやっていけるか心配」とメンバーがマイナスにとらえてしまえば、不和が起こり、チームの勢いも滞ります。
採用の基準の中に、「他の人と上手にコミュニケーションをとることができるかどうか」という項目があります。しかし、利益を追求する企業や組織にとって大切なことは、利益の計上や目に見える功績です。組織のビジョンの達成のために、どのような人材が必要なのかを考え、採用する事が一番重要なのではないでしょうか。
しかし、採用担当部門において重んじられているのは、他のメンバーとの兼ね合いや、採用後、離職するリスクのない人材選択ではありませんか?組織のビジョン達成のために採用するという事をわかっていながらも、無難な選択をしている場合が多いでしょう。
採用基準の明確化はとても重要です。例えば、「個性的で行動力のある人材」という指示を経営陣から採用担当へ伝えたとしましょう。「個性的」=「自分勝手」「他となじめない」という印象が先に立ってしまえば、現場優先の感情、そしてこれまでの採用経験が邪魔をします。他のメンバーと馴染んで欲しいため、「そうは言っても」と、扱いやすい人材を選んでしまいがちです。これでは、経営陣と採用担当との間に考えのズレができてしまい、経営陣・ひいては組織が真に求める人材に巡り合うことはできません。
どうして「個性的で行動力のある人材」が必要なのかを採用担当が本当の意味で理解していない、または経営陣が伝達できていない。そのことがズレを生じさせるのです。これは、現場レベルにおいても同じことが言えます。「ライバルが増えた」と皆が思うようでは発展していくことができません。
そうではなく、「同じ目標に向かって進む、力強い味方ができた」と、メンバーがプラスにとらえるようなフィールドを整えておく事が重要なポイントと言えます。
向かうべきビジョンが明確で、メンバーがビジョンをしっかり把握することで、有力なメンバーが新たに加わった時も、すぐに陣列を整えて行動を共にできるのです。
確かに、長く勤めてもらう採用も、大切にしたい要件と言えます。しかし、求めるべき人材は、ビジョン達成をするための優秀な人材です。強い味方が入れば、喜びの気持ちがわき、組織はその勢いを増します。人材は組織の宝です。優秀な人材を的確に採用するためにも、「採用はビジョンありき」でいきましょう。