ニッチマーケットを選択する
高度成長期を経て、多様な事業・サービスが存在する社会となった現在、デジタル・アナログ問わず様々な企業が増え、とくに食品・飲料の小売・製造業などは競合との差別化や、オリジナリティなどによる製品やサービスへの紐付けが急務となっています。
消費層や、消費スタイル変化の影響が色濃い市場のひとつであるビール業界では、いまニッチマーケットが拡大しつつあります。大手4社が発泡酒の開発に力を注ぐなか、本物のビールを志向する人々に人気となっているのがクラフトビール。星野リゾートで採用されてキリンビールと提携を結ぶことになったり、日本で開発したビールをベルギーで生産して逆輸入したりと、さまざまな方向でマーケットが拡大しつつあるようです。
低迷のつづくビール市場にあっても、ニッチならではのチャンスがまだまだあるのです。今年の夏はクラフトビールを味わいつつ、自社の方向性について展望してみるのも良いのではないでしょうか。
チャンス創造の鍵はニッチマーケットにあり
クラフトビールの例でも言えるように、大手企業が手を出していない隙間には限られた経営資源しかない中小企業にもまだチャンスがあるはず。実際に会社規模は小さくとも、特定分野において利益を上げている優良企業というのは数多く存在します。
ではどうすれば自社の強みを生かしてニッチマーケットを生み出すことができるのでしょうか。ここでニッチマーケットを生み出すポイントについてご紹介してみたいと思います。
局所的なニーズに対応
ニッチというのは隙間的なニーズであるため、全体多数のニーズに応えるものではありません。ですがその分、全体的な価格競争に左右されることがないというメリットがあります。
局所的なニーズに対応することができれば、規模の広がりを見込むことができない代わりに、市場動向に振り回されることなく売上を上げることができるのです。
複数のニッチに対応
ひとつのニッチマーケットだけでは規模の拡大を望めませんが、複数のマーケットを生み出して、全体の販売規模を高めることができます。
特殊技術を活かす
品質や生産技術、価格、納期などで競合他社を圧倒することで、独自のマーケットを確立することができます。
独自に流通ルートを開発する
これからは良い物を作るだけでなく、流通においてもイノベーションを起こさなくてはなりません。独自の販売ルートを確立することで、スピードや価格の面で顧客ニーズに応える新たな市場を確立することができます。
ニッチマーケットでの成功を掴むためには注意すべきこともあります。それは「そもそも競争相手が少ないのはどうしてなのか?」と考えてみることです。勇み足は禁物。参入のリスクについて検討したうえで、新展開への戦略を練るようにしましょう。
またたとえ成功を果たしたとしても油断は禁物。製品やサービス、流通についての新たな可能性をつねに模索しつづける体制を強化することが重要なのです。