利益拡大の本質
2015年5月23日、スターバックスコーヒーが47都道府県で唯一出店していなかった鳥取県での出店を果たしたことが話題となりました。コンビニエンスストアで買い求める美味しいコーヒーが人々の生活に定着してきた昨今、一方で古き良き昭和型のコーヒーチェーン店も増加するなど、1杯のコーヒーを巡る市場はにぎやかなものとなっています。
とくにいま注目を集めているのは、昭和的なフルサービス型喫茶店のビジネスモデル。回転率を上げることが利益拡大のための重要な課題となる外食ビジネスにあって、顧客にくつろぎの時間という付加価値を提供するというスタイルで今後どのような勝負を展開していくのか。関心を寄せている方は多いのではないでしょうか。
プロダクトイノベーションとプロセスイノベーション
利益の拡大をはかるにはイノベーションを起すことが必要。イノベーションがないままに、同じプロセスで同じ製品を製造し、販売していたのでは利益の拡大を望むことはできません。資本主義経済の成熟期にあり、しかも少子高齢化の進む日本にあって生産性を増やすことは、革新的なビジネス展開が不可欠なのです。
利益拡大のためのイノベーションには、プロダクトイノベーションとプロセスイノベーションとがあります。プロダクトイノベーションというのは、製品に関する技術革新のこと。近年はIT技術の革新的な進歩によって、世の中が大きく変化してきました。今後さらにIT技術の革新が進めば、人類の知能を越えるA.I.が生まれる日がくる?といった「2045年問題」なる予測もあります。
プロセスイノベーションというのは、生産や流通過程における改革のこと。製造工程にロボットを導入したり、管理用システムを構築するなどして人件費を削減すること。また中間業者や販売店を廃してインターネット販売を始めることなど。製品ではなく、ビジネスの過程におけるイノベーションです。
この2つのイノベーションの違いは会計面にあらわれます。プロダクトイノベーションでは売上が増加することで利益拡大へとつながります。一方、プロセスイノベーションとは売上の増加ではなく、コストの削減によって利益の拡大を導くもの。このような違いはありますが、いずれも利益拡大のためには必要なものであり、どちらがより重要ということはありません。
しかしそのどちらを優先して取り組むのかについては、事業形態や現状、市場の状況などによって違ってくるもの。重要なのは自社が利益拡大のために本質的に要しているイノベーションを起すことです。イノベーションにつながるヒントは自社のなかに存在します。それを掘り下げていくことなのです。