中小企業金融円滑化法と経営改善計画について (3)
3. 経営改善計画について①
(その1) 経営改善計画とは
リスケを申し込んだにも拘らず、「経営改善計画を作成したが(8割まで)達成できていない」「作成を求められているが、まだ作っていない」「そもそも経営改善計画って何?」という方は要注意である。しかしこれは何も珍しいことではない。リスケを受けている企業の内の3割程度は、未だ提出していないようである。
ここでいう経営改善計画とは、金融機関にリスケを申し込むに際して作成・提出される、自社の経営状態を改善する方法についての計画をいう。そしてその内容は「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜(ジツバツ)計画)」でなければならない。
(その2) 経営改善計画を提出しなければならない理由
では、経営改善計画を提出しないとどうなるのであろうか。金融機関は、融資先企業を「正常先」「要注意先(その他要注意先・要管理先)」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5つの債務者区分に振り分けている。リスケのように、当初の貸出条件(返済予定)を緩和した債権(貸出条件緩和債権)がある融資先については、原則「要注意先」の中の「要管理先」以下に区分される。いわば不良な貸出先であり、貸出条件緩和債権はいわゆる不良債権であるといって良い。不良債権であれば、それがプロパー融資(保証機関による保証なしの銀行の独自貸)であればサービサー(債権回収会社)への売却対象となるし、保証協会保証付きの融資であれば保証協会へ代位弁済の対象となりかねない。そのような事態に陥れば、会社の信用が大きく損なわれることは明白である(敢えてそのような状態にして、債務を減らし(当然資産も回収されるが)一から出直す方法もあろうが)。
ところが、ここで力を発揮するのが、経営改善計画である。経営改善計画が、実現可能性の高い抜本的なもの(実抜計画)であると認められれば、申し込んだリスケも、貸出条件緩和債権(つまり不良債権)とはみなされることはないのである。
以上を踏まえれば、経営改善計画を是非とも提出しなければならない理由が理解できよう。