内部管理体制の確立(改正保険業法への対応)について

#M&A#保険

内部管理体制の確立(改正保険業法への対応)は
間接コストの増加が必至

平成28年の「金融行政方針」に基づいた改正保険業法の施行に伴い、保険代理店は保険会社による教育や管理、指導に加え、保険募集人が健全かつ適切な業務を遂行できるように、内部管理体制を確立することが義務付けられました。

この改正保険業法の施行により、間接コストが増加すると考えられます。

本記事では、内部管理体制の確立における間接コストの増加について詳しく解説します。

内部管理体制の確立の必要性

内部管理体制の確立は改正保険業法で定められているため、必ず実施しなければなりません。また、保険会社による教育や管理、指導を行っただけでは、内部管理体制が確立できているとは言えず、監査などで実態を定期的に把握して、必要に応じて適切な措置を講じることが義務付けられています。

内部管理体制の確立には、ツールの導入や人的リソースの確保など、さまざま施策が必要です。その結果、間接コストが増加すると考えられます。

内部管理体制の確立において発生する間接コスト

内部管理体制を確立するためには、次のような間接コストが増加します。

人件費

内部管理体制の確立においては、保険募集人に対する適切な指導がこれまで以上に求められます。そのため、頻回な面談、フィードバックによって、適切な募集ができている状態を維持しなければなりません。

そうなれば、人的リソースが不足するため、新たに人材を雇用する必要があります。その結果、人件費が大きく上がると考えられます。

ツールの導入・維持管理費

内部管理体制を確立するために、ツールを導入する必要があります。アナログな管理ではミスが生じやすいうえに、従業員の負担も大きくなります。

複数のツールを導入することで、より多くの間接コストが発生するでしょう。チャットツールによるコミュニケーションの円滑化、保険募集人の状況を把握するためのツールの導入などが必要です。

内部管理体制を確立するために行われている施策

実際に、間接コストが増加するような施策は行われているのでしょうか。

財務省の資料「改正保険業法の施行後の保険代理店における対応状況等について(平成29年 2月)」に記載されている各社の対応方法を参考に、詳しく解説します。

保険募集人への情報共有の工夫

保険募集人に情報を速やかに共有すべく、改正保険業法に関する情報を社内ポータルサイトに掲載しています。さらに、募集文書のルールの一覧表や、募集文書を独自に作成する際のチェック項目の解説書を作成し、保険募集人の育成を図っているようです。

まずは、このような情報を保険募集人に十分に共有することが内部管理体制の確立の第一歩と言えるでしょう。

保険募集マニュアルの策定・浸透

改正保険業法における「保険募集管理規程」に基づいた保険募集、および適切な運用を図るために、「保険募集マニュアル」を策定しています。マニュアルを策定しただけでは社内に浸透しません。

そこで、社内の部署を横断したプロジェクトチームを設置し、各営業拠点を巡回して個別指導を行っています。

募集方法・プロセスをわかりやすくマニュアル化する

「保険募集管理規程」や「コンプライアンスマニュアル」などを保険募集人が正確に理解し、資質を向上させることを目的に、募集プロセスの注意点や所定帳票などを記載した「募集プロセスロードマップ」や「教育用ロールプレーVTR」を作成しています。

情報の浸透だけではなく、情報の理解まで踏み込むことで内部管理体制の確立へ一歩近づきます。

成功事例・失敗事例の共有と蓄積

保険募集人の経験の差による習熟度の違いを解消し、良質で均一なサービスを提供することを目的に、成功事例・失敗事例の両方を会議で発表し、保険募集人同士で共有しています。

さらに、共有された事例は蓄積させることで、全保険募集人の資質の向上・均一化に繋げています。

キーパーソンの配置

保険商品が複雑化している昨今では、保険募集人の知識や経験により顧客対応の質にばらつきが生じるケースが少なくありません。このような問題を解消するために、業務内容に応じてキーパーソンを配置し、毎週のミーティングで商品改定や社内規則の改定、顧客サービス対応などのレクチャーを行っています。

まとめ

内部管理体制を確立させるには、キーパーソンの配置やマニュアルの作成、個別指導を行うプロジェクトチームの設立など、さまざま施策が必要です。これらの施策を行う場合、間接コストの増加は避けられません。

あらかじめ、十分な予算を用意したうえで、保険募集人の知識・スキル・資質の向上を図ることが大切です。

内部管理体制の確立を目指す際は、社内の人的リソースを確認し、必要に応じて新規採用も進めましょう。

公開日2023年5月10日
制作協力加藤 良大
Contact

お問い合わせ

サービス内容や事例・実績など気になる点をお気軽にお問い合わせください。

FAQ

よくあるご質問

  • コストの無料診断を詳しく教えてください。
    コストの無料診断は、クライアント企業様と秘密保持契約を締結後、以下のいずれかの方法により分析し、削減見込額を報告させていただくものです。
    ①総勘定元帳から、各コストを項目別×発注先別×拠点別(店舗別)に分類のうえ全般的なコストについて分析
    ②削減を希望するコストの契約書・請求明細から、取引先×単価×数量を把握し、個別に削減見込額を分析
  • コンサルティング契約はどのような契約内容になるのですか?
    コンサルティング契約はクライアント企業様と当社との包括契約となります。契約内容には、フィー体系やコンサル内容の規定をしております。具体的な内容については契約書のドラフト及び別紙「コンサルティングの進め方」にてご説明させていただきます。
  • 業者や貸主との交渉など、クライアント側担当者の作業(事務)負担は?
    コスト分析から削減手法の策定及び各業者や貸主との交渉は当社主導で実施いたします。(クライアントのご担当者様には同席をお願いしております)交渉の進め方は交渉前にクライアント様にご報告させていただき、ご了解の上で交渉に着手いたします。
  • コンサルフィーの条件は?
    コンサルフィーは削減が実現できた場合のみ発生いたします。
    1年間のコスト削減額の中からフィーが発生しますので、未来永劫フィーが発生するものではありません。