人事・総務・経営管理品質リスクマネジメント
品質管理活動は十分になされていると、自信を持って断言できますか?
日本の製品は世界から称賛され、高いクオリティを誇っています。しかし、問題が発生しない期間が続くと、品質管理活動が形骸化してしまい、結果大きな企業的損失や信頼低下につながったことは記憶にも新しいかと思います。
製品やサービスの「品質を第一」に考えている顧客にとって、品質は信頼に結びつきます。品質に万が一のことがあった場合、信頼は総崩れになり、経営に多大な損害をもたらすでしょう。
「ルール」、「仕組み」、「企業風土」の三つの観点から、品質リスクマネジメントについての課題と対応策を考えてみます。
1.品質リスクマネジメントの課題
注文が増え、仕事量が増大していきますと、不十分な品質管理方法では、様々な問題が発生します。問題の原因となる課題部分を洗い出すことから始めましょう。
①ルールに関する課題
- 品質管理を事務局や品質保証・管理部だけで行っている。
- 事務局(品質管理をおこなう部署)と各業務を行う現場との意志疎通が不十分。
- 現場で使われていない形骸化したルールや文書が多数存在する。
②仕組みに関する課題
- ISO9001を始め、品質マネジメントの外部審査が行われる時のみ、そのための文書が作成される。記録は後付けしたものであり、実際の業務の見直しはしていない。
- クレームやヒヤリハットの報告がない。また、情報共有もしていない。
③企業風土に関する課題
- 品質管理の工数や過程についてはアバウトで、売上や利益などの「成果」や「納期遵守」が重視される。
- 企業のトップ、リーダー自らがクレーム対応や品質・業務改善に携わることがなく、責任を全うしているとはいえない。
2.品質リスクマネジメントの対応策
品質リスクマネジメントを現場に行きわたらせ、実際に効果をあげるためには、正しい対応が求められます。
①ルールに関する対応策
- 品質管理は働く全員が理解すべきものです。事務局(品質管理部署)の役割は必要最低限にし、工程に関わる現場が主体となって品質管理活動を遂行する
- 形骸化し、活用されていないルールや文書を全て洗い出す。現場が主体となり、必要なルールを選別し、実際に活用・遵守できるルールに改定する。
②仕組みに関する対応策
- 重要で必要なルールのみを運用。証拠作りのためだけの中身のない運用は行わない。
- ヒヤリハットや発生した問題事項は全て記録。その際、現状のルールに効果はあるのかを検証し、必要な改定を繰り返し行う。
③企業風土に関する対応策
- トップ自らがリーダーシップをとり、クレーム対応や品質管理を実施する。
ISOの獲得や保持のために、品質管理要項のつじつま合わせに陥ってはいけません。顧客満足の向上を目指す、品質マネジメントシステムを構築することが重要なのです。つじつま合わせの非効率なシステム・ルールを改め、トップ自らが陣頭指揮をとり、品質リスクマネジメントに取り組みましょう。