失敗するIT投資
ガードナージャパンが発表した「2015年度国内IT投資動向」によると、2015年度のIT投資はその増加ペースはやや鈍化するものの、ビジネスの変革や成長につながる「攻め」の投資は昨年度に引き続いて増加する見通しとなっているようです。またITRが発表した「IT投資動向調査結果」では、情報セキュリティ対策などのリスク対策費用が増加するなど、「守り」を重視したIT投資の増加が目立ったそうです。
いずれの調査結果でもポイントとしてあげられているのは、IT部門がニーズに対応しきれず、ビジネス部門が独自にIT投資を行うケースが増加しつつあるという現状です。こうした傾向は今後のIT投資を考えるうえで重要なポイントとなりそうですね。
IT投資で失敗しないために
クラウドやデータマイニングといったIT技術の進化やモードによって、企業のIT投資は事業本体のあり方や組織の改革にまで影響を及ぼしはじめています。日々進化しつづける技術やサービスを求める部門の声に応えるのは、専門部署とはいえ至難の業。とはいえ自社のIT部門の枠を超えて各部門が自由にクラウドサービスを利用するようになれば、データセキュリティの責任は誰が持つのでしょうか?
これまでIT投資には消極的であった企業こそ、これからは攻めのIT投資で成長を遂げるチャンス。前述のような問題点をふまえたうえで、自社に合ったシステムを導入していただきたいものです。そこで今回はIT投資で失敗する企業の問題点についてご紹介してみたいと思います。
IT投資で失敗する企業に共通してみられるのは、ハードとソフトさえ揃えば問題がすべて解決すると思い込んでいるところ。またIT投資で活用すべき、自社のインタンジブル・アセットの重要性に気付いていないこと。仮にその重要性に気付いていたとしても、それをIT投資とうまく結び付けられないでいることです。
インタンジブル・アセットというのは、企業の生産性向上に貢献する人材やノウハウのような目に見えない資産のこと。IT化によって社内ネットワークを構築できれば、人材をさらに有効に活用することができます。また自社に蓄積されたノウハウや情報をデータベース化すれば、事業分析や戦略立案、経営判断のために役立ちます。
組織の能力が高く、インタンジブル・アセットが大きい企業ほど、IT投資の効果は高くなります。しかし組織力の低いままいくらIT投資をしても経営を悪化させるだけ・・・ということでもあるのです。
重要なのは自社の事業と組織力に見合ったIT投資を行うこと。人材やノウハウといったインタンジブル・アセットを有効に活用するためのシステムを導入することなのではないでしょうか。