(3) 営業戦略の視点で考える
① 現有戦力でいかに成果をあげるのか?
売上拡大を図るためには、優秀な営業マンを入れることは一時的な解決策にはなるかも知れませんが、抜本的な解決にはならないケースが大半といえます。優秀な営業マンを他社から引っ張ることができても、果たして御社においても優秀な営業マンとなるかどうかは未知数です。売上拡大が実現したとしても、営業マンの人件費は増加し、利益拡大に繋がらないケースも多く見られます。
また、現在の営業マンを優秀な営業マンに教育することも重要ですが、個人差もあり、教育にかけた時間やコストと売上拡大が正比例するという確約は無く、確実に成果を出すことには繋がらないケースも多く見られます。
② 売上拡大を実現するための戦略(某サービス業の事例)
<弊社へのコンサルティング委託の背景>
某社の営業状況についてヒアリングを行い、現状分析を行った結果、弊社コンサルティングにおいて、以下2つの施策をクライアント企業に提案し、実行に移すことで売上拡大という大きな成果をあげることができました。
① 営業プロセスを分解。再配列し、最適なプロセスに統合
② 担当者の成果と目標を再定義する
③ 試行と成果管理ツールの導入
その会社において優秀な営業マンは、顧客とのコンタクトからヒアリング、提案、契約とその全てのプロセスを完結させることができておりますが、普通の営業マンや経験の少ない営業マンもおり、成果に非常に大きなばらつきがありました。
「顧客とコンタクトを取り、ヒアリングからニーズを引き出すのはうまいけれど、提案力が弱い」もしくは「提案力はあり、非常に魅力的な提案を顧客にプレゼンできるけれども、契約まで至らない」といったことが散見されており、営業マンの底上げのための教育や研修なども行っておりましたが、大きな成果には至っておりませんでした。
<弊社コンサルの実施内容>
(A) 現行プロセスの分析(営業プロセスを分解)
顧客とのコンタクト(電話・メールなど初訪問のアポイント取得)
初回訪問による顧客ニーズのヒアリング
提案(顧客ニーズに応じた企画提案)
契約(契約締結)
(B) 営業プロセスの再構築
上記の通り4つのステップに分け、営業マンの能力・スキルや経験などに応じて顧客毎の担当制をやめることといたしました。つまり、①アポイント獲得のみを行う担当者、②初回訪問のみを行う担当者と顧客に対し最大4人の営業担当者が関与する体制へと変更いたしました。
(C) 施策の試行と管理ツールの導入
この営業プロセスを試行した結果、予想以上の大きな成果へと繋がりました。ただしこの組織体制への以降は、最終的な顧客との契約プロセスを担当する営業マン以外はその成果を図りづらいということもあり、プロセスごとの担当者の成果と目標を再定義いたしました。
具体的には、顧客とのコンタクトを取る営業マンの成果を、初回訪問(アポイント)の件数にしてしまうと、意味の無い初回訪問件数のみが増加します。よって初回訪問数ではなく、次のプロセスにおける成果である提案件数が初回訪問担当者の成果と定義づけいたしました。同様に全てのプロセスにおいて、成果を再定義するとともに、重要なのは「チームとしての成果を全員で共有する」ことになります。
チームとしての成果を全員で共有し、営業プロセス毎の進捗管理・成果管理ツールを導入することで、成果をあげるため常にチームとしてプロセス毎の改善を図る体制を構築。
従来と比べて「訪問件数を2.3倍、提案件数を2.1倍、契約件数を4.9倍」になりました。
売上拡大のための「営業戦略」の見直しは、主に「営業マンの営業力向上」に目が向きがちです。営業力を向上させることは非常に重要です。しかしながら、営業力向上だけでは売上拡大に繋がらず、また時間がかかるケースも多いといえます。